骨粗鬆症とは
近年の高齢化人口増加に伴って罹患患者数は増加しており、現在日本には約1300万人の骨粗鬆症患者が存在していると推定されております。
脆弱性骨折を機に生活の質を低下を招き介護状態となってしまうケースも増えています。骨密度と骨質の劣化により骨強度が低下する事で、骨折リスクが増大している病態です。骨粗鬆症は圧倒的に女性、特に閉経後の女性に多くみられ、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています。
他にも免疫の病気でステロイドを使用している方や、慢性肝炎や肝硬変も骨粗鬆症リスクと言われています。
診断基準と治療について
脆弱性骨折を認める場合
椎体骨折または大腿骨近位部骨折を認める場合。その他にも脆弱性骨折あり、骨密度がYAM(※) の80%未満は骨粗鬆症として治療を行います。
脆弱性骨折なしの場合
骨密度が YAMの70%以下(※ YAM: young adult mean 若年者の平均値に対して骨密度が減少している割合(%))も骨粗鬆症として治療介入を行います。
内科での薬物治療については、脆弱性骨折の予防が目的となります
ビスホスホネート
骨吸収を抑えることで、骨量(骨密度)を増やす働きがあります。飲み薬は1日1回、1週間に1回、4週間に1回、月1回のタイプがあります。
抗RANKL抗体
RANKLとは、破骨細胞の形成・活性化などを促進するたんぱく質です。この薬剤はRANKLに作用することで、骨吸収を抑制します。骨量(骨密度)を増やす働きがあり、背骨(椎体)や足の付け根(大腿骨近位部)の骨折が発生する割合を抑える効果も認められています。薬の種類は注射薬(医療機関での皮下注射)です。注射の間隔は6ヵ月に1回です
カルシウム
骨粗鬆症の患者さんのカルシウム摂取量は1000mg/日が望ましいとされており、食事で補えない分は飲み薬で摂取します。血液検査で血液中のカルシウム値が上昇すると嘔気や食欲不振が生じることもあり、消化器症状がある時は血液検査でcheckします。
活性型ビタミンD3
活性型ビタミンD3には骨代謝に欠かせないカルシウムやリンの腸での吸収を促進する働きがあり、骨形成の促進・骨吸収の抑制によって骨量(骨密度)を増加させます。椎体(背骨)の骨折リスクを減らす効果も認められています。薬の種類は飲み薬です。