機能性ディスペプシアとは
機能性ディスペプシアとは、「胃が痛い」「消化不良」「慢性的なみぞおちの痛み」などがあるのにもかかわらず、胃カメラやレントゲン、腹部超音波検査や血液検査などの検査を行っても、痛みの原因となる病気を認めない方の腹部症状を表す疾患です。
原因不明の消化器症状を、昔は慢性胃炎と言っていた時代もありました。
近年は慢性胃炎とは言わず、機能性ディスペプシアと言う疾患概念が提唱されています。そもそも慢性胃炎は胃粘膜に活動性の炎症があるのですが機能性ディスペプシアにはなく正常の胃粘膜をしているのです。
機能性ディスペプシアの原因
1.胃腸の動きが悪くなる
胃の中に食べ物を溜めて送り出すタイミングが、うまく十二指腸や小腸とシンクロしないことが原因となると考えられています。
2.胃腸の知覚過敏
少量の食事でも、胃が少しだけ広がっただけで症状が出るとされています。
3.ストレス
暴飲暴食や睡眠不足、精神的なストレスが原因であることもあります。また精神疾患(うつ状態など)が原因の場合もあります。
機能性ディスペプシアの診断
機能性ディスペプシアと診断するためには、同じような症状がある全ての病気(逆流性食道炎、胃十二指腸潰瘍、胃がん、ピロリ菌感染性胃炎、膵臓・胆嚢・大腸なども調べることがあります)がないことを検査で確認することが重要です。
血液検査や胃カメラや腹部超音波検査を行い、器質的な疾患が無いことを確認して、機能性ディスペプシアの診断となります。
機能性ディスペプシアの治療
1.消化管運動機能改善薬と酸分泌抑制薬を用います
機能性ディスペプシアの治療としてまず、消化管運動機能改善薬と酸分泌抑制薬を用いて治療します。胃酸を抑えることにより酸による刺激を減らし、消化管運動機能改善薬で胃腸の動きのシンクロをよくすることが目的です。
2.漢方薬や抗不安薬や抗うつ薬
消化管運動機能改善薬と酸分泌抑制薬で改善が乏しい場合、投与することがあります。
3.ストレス軽減を目的とした生活習慣の改善
身体的ストレス(睡眠不足や過労、暴飲暴食など)や精神的ストレスを自身では自覚していないことも実臨床では多いです。お話しを聞いて改善するべき点があれば薬物治療と一緒に、ストレス軽減のアプローチを行います。