大腸ポリープとは
大腸粘膜の一部がイボのように隆起してできたもののことを大腸ポリープといいます。大腸ポリープはその細胞組織により細かく分類されています。大まかには、腫瘍性のポリープと非腫瘍性ポリープに分類されます。
腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープについて
腫瘍性ポリープ
線種と言われるポリープのことです。一部の腺腫性ポリープは将来的に大腸癌のなる可能性があります。また非腫瘍性ポリープの過形成性ポリープと見た目が似ている鋸歯状ポリープなども、大腸カメラで正確に見極めて切除することが大腸がんのリスクを下げることにつながります。
非腫瘍性ポリープ
過形成性ポリープや炎症性ポリープ、若年性ポリープ(Juvenile polyp)などがあります。過形成性ポリープと鋸歯状線種の見極めは拡大内視鏡検査やNBIなどを併用して行います。
大腸ポリープの大きさと大腸がんとの関係について
ポリープの大きさ5mm以下 >>0.5%
ポリープの大きさ6mm〜9mm >>約3.3%
ポリープの大きさ10mm以上 >>約28.2%
ポリープが大きくなるにつれて、がんである確率が上昇します。
大腸ポリープと大腸がんのリスク要因
家族歴が重要
大腸の腺腫性ポリープの最大の危険因子は、大腸がんの家族歴です。親兄弟が大腸カメラを受けて、大腸ポリープがあると言われた方は、一度検査されることをオススメしております。
加齢に伴って増えてきます
年齢に関しては、40歳近くから大腸ポリープの増加が顕著となってきていますので、40歳となった時点(可能であれば30代のうちに)で一度大腸内視鏡(大腸カメラ)検査を受けておくのが理想です。
その他の要因
喫煙者、赤身肉(特にウィンナーなどの保存・加工肉の過剰摂取)、高カロリーな食事習慣、肥満(運動不足)、アルコール多飲などがリスクとしてあります。
大腸ポリープで自覚症状はありません
ほとんどの場合、無症状です。早期の大腸がんや、また進行した大腸がんであっても症状が全くないことも珍しいことではありません。
症状なないうちに偶然に発見され治療されることが多いのです。大腸がんになる可能性のあるポリープをより早期に見つけるためには、症状がないうちに、大腸カメラを受けることが重要です。
治療方法
がん化しうるポリープは、検査中に見つけ次第切除します。 欧米では、小さい段階で腺腫性ポリープを切除することで、大腸がんによる死亡率を低下しうることが示されています。
日本のガイドラインでは、5mm以下のポリープに関して、即座に切除せずに、経過観察する選択肢も許容されています。 しかし何度も大腸カメラを受けないといけない、結局大きくなって切除が必要になってくることが多いため、基本的に見つけ次第切除しています。
私が医師になったばかりの時は、大学病院でさえも入院してのポリープ切除が当たり前でした。
現在は「ポリープの大きさ」「切除に伴う出血リスク」「大腸ポリープの局在位置」などの点を総合的に評価して、日帰り切除とするか、入院して治療するかを決めています。
日帰りでの大腸ポリープ切除の方法について
コールドスネアポリペクトミー
コールドスネアポリペクトミーとは、大腸ポリープに金属ワイヤーをかけて切除する方法です。
金属ワイヤーに電気を流して焼き切らないため、切除後の出血が少なく、腸管穿孔の危険性もまずありません。
安心・安全に大腸ポリープを切除することが可能です。
HOT biopsy 鉗子を用いた焼灼切除
小さなポリープが多発している場合に行うことがあります。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
やや大型で、がんを疑う病変に対して行います。
入院が必要な大腸ポリープとは
「ポリープの大きさ」「切除に伴う出血リスク」「大腸ポリープの局在位置」などの点を総合的に評価して、日帰り切除とするか、入院して治療するかを決めています。
特にがんを合併していると考えられる大きなポリープで一括切除が望ましいケース、血液をサラサラにする薬を止めることが難しい方は入院加療が可能な専門施設を紹介することになります。
ポリープ切除の合併症と治療後の注意事項について
ポリープ切除による主な合併症は、出血(術中出血、後出血)と穿孔(腸に穴があくこと)ですが、特に頻度などから問題となるのは後出血です。
後出血は、1%未満の低い確率ですが、一定の確率で認める事象です。 後出血は、術後安静を保っていたとしても起こりえますが、腹圧をかける運動や動作、アルコールや刺激物の摂取で出血が誘発されやすくなります。
偶発症予防のために注意すること
- ポリープを切除後3日はシャワー程度で入浴を控えてください。
- 切除後1週間は、激しい運動、出血時にすぐに戻ってこれないような遠方への旅行や出張、アルコールや香辛料などの刺激物の摂取はお控えください。