11月23日(土)「勤労感謝の日」は休診日です。今年度のインフルエンザワクチン予約を締め切りました。

内科

脂質異常症

脂質異常症とは

血液中のLDL-C(いわゆる悪玉コレステロール)、HDL-C(いわゆる善玉コレステロール)、トリグリセリド(TG;中性脂肪)のうちいずれかが異常値を示す疾患で、血液検査で診断します。以前は、高脂血症ともいわれていました。

高血圧の人が脂質異常症をともなうと、血管壁が傷つきやすいため(血管に高い圧力が負荷されている)動脈硬化がさらに進行すると言われています。また糖尿病の人は脂質異常症を伴いやすく、動脈硬化を進行させるリスクが高まります。
脂質異常症には、自覚症状はほとんどありません。そのため気づくのが遅れ、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な発作にある日突然に陥る人もいます。
発作を防ぐには、毎日の生活(食事や運動)に気をつけることと、健康診断などで「脂質異常症の疑いがある」といわれたときは、放置せずに早めに受診して医師の指導を受けることが大切です。

脂質異常症の原因

原発性高脂血症(体質、遺伝子異常により発症するもの)および二次性高脂血症(食事や薬物に起因するものや内分泌代謝疾患、腎疾患、肝疾患など原疾患に続発するもの)があります。

高LDLコレステロール血症

動物性脂肪の多い食品(肉類、乳製品など)、コレステロールを多くふくむ食品(鶏卵、魚卵、レバーなど)が好きで、よく食べていませんか。また、食べすぎによる慢性的なカロリー過多も原因のひとつです。

高トリグリセライド(中性脂肪)血症

食べすぎ、飲みすぎ、あるいは高カロリー食品(甘いものや脂肪分の多い肉類など)のとりすぎによる、慢性的なカロリー過多が第一の原因です。とくにアルコールの飲みすぎは中性脂肪を増やしやすいので注意しましょう。

低HDLコレステロール血症

善玉(HDL)コレステロールが減ってしまう原因として、運動不足、肥満、喫煙などが指摘されています。バランスのよい食事を心がけるほか、こうした要因にも注意が必要です。

遺伝と脂質異常症

脂質異常症の原因の中に、少数ですが「家族性高コレステロール血症」といって、遺伝的要因によるものがあります。遺伝型によっては10代といった若年でも心筋梗塞や狭心症などを発症することがあります。遺伝性の場合は治療も異なることがあります。

検査および診断基準

血液中の中性脂肪値、コレステロール値を測定します。検査は空腹時に行います。

脂質異常症と判断される基準は、LDLコレステロールが140㎎/dl以上(高LDLコレステロール血症)、HDLコレステロールが40㎎/dl未満(低HDLコレステロール血症)、中性脂肪が150㎎/dl以上(高中性脂肪血症)のいずれかです。

治療介入を検討するため、頸動脈超音波検査や頭部や頸部のMRIやMRA検査などを行うこともあります。

治療方法

脂質異常症の治療の基本はまず、「禁煙」、「食事療法と運動療法」、「適正体重を維持すること」からはじまります。食事療法、運動療法などで脂質管理目標値とならない場合は次の段階である薬物療法へと進みます。
ただし超音波検査で動脈硬化性変化が確認された人や、脳梗塞や心筋梗塞などになっている人には、食事療法・運動療法と同時に薬物療法が考慮されます。

食事療法

・過食や糖分の摂取を控え、摂取カロリーを減らしましょう
・コレステロールを多く含む食事を控えましょう
・動物性脂肪の割合を減らし、植物性脂肪を多くとるようにしましょう
・繊維分を多く含む野菜などをたくさん食べるようにしましょう
・アルコールを制限しましょう
・肉類よりも魚類をたくさん食べるようにしましょう

運動療法

毎日行える無理のない有酸素運動(1日30分以上)が良いとされています。

薬物療法

脂質異常症治療薬にはスタチン、フィブラート薬、コレステロール吸収阻害薬、イコサペント酸エチル(EPA;鰯の脂に多く含まれるものです)があり、単剤もしくは組み合わせて使用します。

 

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