胃炎とは
胃炎とは胃の粘膜に炎症が起きている状態です。
胃炎には急性胃炎と慢性胃炎という時間的な分類や原因による分類のほかに、1991年世界的にシドニー分類が提唱され、現在日本では京都分類という、ピロリ菌感染・内視鏡(胃カメラ)における胃粘膜の状態から胃炎を評価する分類が用いられます。
急性胃炎には薬剤性、飲酒、喫煙、刺激物や精神的なストレスなどが原因となることがあります。
慢性胃炎にはヘリコバクターピロリ菌が関係しています。ピロリ菌の治療をしないと、胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となります。
胃炎の症状
- 胃の痛み
- みぞおちの痛み
- 消化不良
- ゲップ
- 吐き気と胸焼け
- 食欲不振
胃カメラをして、胃に炎症が確認できる状態でも、自覚症状の無い胃炎もあります。
胃カメラをしても胃に炎症がない場合は、機能性ディスペプシアである場合もあります。
胃炎の原因
急性胃炎
食べ過ぎ、アルコールの過剰摂取、強い刺激物(香辛料など)、タバコ、非ステロイド性抗炎症薬(アスピリン、ロキソプロフェン、ジクロフェナクなど)などの薬剤性、強いストレス、ピロリ菌感染など
慢性胃炎(萎縮性胃炎・腸上皮化生)
長期間にわたり胃炎が続いている状態です。慢性胃炎にはヘリコバクター・ピロリ菌の感染が関係していると考えられています。
ピロリ菌が胃の中に棲みついてしまうことで少しずつ胃粘膜を痛めつけてしまい、何十年にもわたって徐々に炎症が広がっていくことで起こります。この炎症により胃の粘膜が薄くなる萎縮性胃炎になります。さらに進行すると胃粘膜上皮がびらんと再生が繰り返され、胃粘膜に腸管粘膜上皮の形態に変化します。これを腸上皮化生と言います。
正常粘膜と萎縮粘膜の境界付近や、腸上皮化生で胃がんが発生しやすいと言われています。
胃炎と胃がんの関係
胃炎が長期間続くと、胃粘膜の萎縮(粘膜が薄くなる変化)が起こります。さらに進行すると胃粘膜上皮がびらんと再生が繰り返され、胃粘膜に腸管粘膜上皮の形態に変化します。これを腸上皮化生と言います。
内視鏡で確認すると、正常粘膜と萎縮粘膜、腸上皮化生の境界付近で胃がんが発生しやすいと言われています。
慢性胃炎の原因としてピロリ菌感染の有無がとても重要です。喫煙などが加わると胃炎がさらにひどくなります。
胃がんの原因としては、ピロリ菌感染がとても重要ですが、他にも、喫煙、塩分の過剰摂取などもリスクを高めると言われています。
胃炎の検査方法
まず、患者さんによくお話を伺い、慢性胃炎の疑いのある場合は、胃カメラを行います。粘膜の状態を確認して、ピロリ菌感染が疑われればさらに、血液検査などの他の検査で確認しピロリ菌の除菌療法を検討します。
胃カメラで進んだ慢性胃炎(萎縮性胃炎や腸上皮化生が認められる)を認める場合は、定期的な胃カメラをお勧めする場合もあります。
現在胃がんは早期発見すれば、内視鏡治療で根治が可能です。ピロリ菌除菌療法後であっても、胃がんリスクの高い胃粘膜を持った方を精度の高い胃カメラ検査で、胃がん死亡率を下げることができます。
内視鏡検査装置(胃カメラの装置)の進化によって、3~5mm程度の小さな胃がんもよく見えるようになっています。
ピロリ菌除菌歴のある方や慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を過去に患った方は、胃がんリスクがありますのでお気軽にご相談下さい。
胃炎の治療方法
自覚症状が強い方には、胃酸分泌抑制するお薬を処方します。症状に応じて色々なお薬を使います。胃がんリスクの評価を胃カメラ検査で行い、漫然と薬を処方せず、リスクに応じて胃カメラを最適なタイミングで行います。
またピロリ菌感染が判明した方は、内服薬による治療を行います。内服薬は朝夕1日2回内服し、合計7日間内服します。